エフィカシーとゴールの発見
こんにちは。最近は、ゴール設定にフォーカスしていますが、ゴール設定はコーチングの基本であると同時に難しいポイントだと思います。
コーチとして、「ゴールが見つかりません」という言葉を何度聞いたかわからないほどです。
かつては、ゴールが見つからないなら考える時間を作ることが大切なのかなと思っていた時代もありましたが、今はそれよりももっと大切なことがあると思います。
それは、エフィカシーを上げることです。
極端な話、ゴールはエフィカシーが上がれば見つかります。
ただ、エフィカシーというのはゴール達成における自己能力の自己評価ですから、ゴールがあって初めて生まれるものです。
なので、エフィカシーが上がればゴールが見つかるというのは、矛盾しているように聞こえるかもしれないし、もしかしたら実際に矛盾しているのかもしれません。
しかし、多くの人は、自分の能力を過小評価してしまっているのです。
すこし想像してみてください。
もし仮にあなたが「自分の力で日本のGDPを世界一にして、その状態をその先もずっと永続させる」というゴールを持っていたとします。
そして、自分にはそれを達成する能力があると本気で確信しているとしましょう。
そのとき、「自分の能力に対する自己評価」はとても高くないですか?
「自分にはそのゴール(日本のGDPが世界一)を達成する能力がある」と確信しているときの自分の能力に対する信頼は、今のあなたがあなた自身に対してもっている自分への信頼と比べてどうでしょうか。
こういう抽象化したレベルでのエフィカシーというか、自分への信頼というものが人間にはあります。
そのレベルのエフィカシーは、ゴールがぼんやりしていたり見えなかったりしていても、もしかしたら上げることはできるのではないでしょうか。
まあ、エフィカシーはゴールがなければ上げようがないですが、自分自身の可能性に対する過小評価は、想像できる未来の幅に影響を与えます。
あなたの限界は、あなたのイマジネーションの限界なのです。
自分に対する過小評価によって、あなたは自分の未来の選択肢を狭めてしまっているかもしれないのです。
もしもゴールが見つかっていないのであれば、おそらくほぼ確実にあなたは自分の能力を過小評価しています。
あなたは、いくらでも自由にあなたの未来を想像することができるのです。
アメリカの大統領になってもいいし、日本を変えるために総理大臣になってもいいし、世界中に福音を届けるためにローマ・カトリック教会の神父になって教皇になってもいいのです。
もちろん、このメルマガを読んでいる現在の皆さんには、その道筋は全く見えないでしょう。
自分の中にそのような能力も見つけられないはずです。
しかし、だからこそゴールなのです。
あなたの能力を引き出すのはゴールです。
だから、自分の現在のノーマルによって、自分の想像力を狭める必要はないのです。
エフィカシーについて、僕はもう少し研究する必要があるかもしれませんが、こう言う意味での自分に対する信頼は、エフィカシーといっていいような気がします。
エフィカシーは、現状の外側のゴールを、リラックスして受け入れることができる力です。
未来の自分を受け止めてあげる力です。
その要素に自分に対する信頼が含まれているのは、おそらく間違いないでしょう。
根拠などいらないのです。
とにかく、ゴールを設定すれば、能力を引き出すことができると自分自身を信頼するのです。
想像することと自分を信頼することは、一体になっているのです。
可能世界論というものをクリプキが考えたときには、おそらくこういうことを射程に入れていたのではないかと思います。
クリプキは『名指しと必然性』という本を書いているのですが、固有名は可能世界と可能世界の間にある同じもの同士を特定する固定指示子(rigid designator)であるということを書いています。
明けの明星と宵の明星は同じなのかというフレーゲのときから分析哲学でお馴染みの問題を、クリプキはこうやって解決したのです。
天才ですね(笑)。
そして、コーチングととても相性が良いと言えます。
クリプキの可能世界論をコーチング的に言い換えれば、あなたという存在は無限の可能性を秘めているのです。
どんな縁起を未来に結実させることもできるのです。
なぜならば、あらゆる関係性が違うある仮想世界と他の仮想世界にいる自分を特定することができるのが、名指しという行為であり、その意味で名前とは固定指示子rigid designatorなのだというのがクリプキの哲学だからです。
自分でその可能性を狭めてしまう必要はありません。
自分を信頼し、あらゆる可能性を受け入れましょう。
そうすれば、現状の外側の未来は自然と見えてくるはずです。
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